甘えの構造

上の本を読んだ。確かに、ベネディクトと比べると考察が深くなっていてよかった。甘えは全世界に共通する人間の本性(=気質)だ、というのには納得。また、言語から、人間の心理に言及しているのは良かった。しかし、筆者が戦前・中派のためか、日本が一番偉い、と考えているのが随所に伺われて気持ち悪くなった。自由主義個人主義が衰退し、集団主義が優勢になる、(ならねばならない?)と捉えている節が強かった。そんなに家長主義的なところが良かったのか?というより、日本の家長制は形式的な物であると思う。権力もったらそれで良し(責任問題は適当にごまかせ)、という色が強いように感じる。(筆者もこの論点を容認している)馬鹿でかわいらしい家長ということはできるけど。文化という問題に関しては、その人の文化背景が如実に影響するから、仕方がないと言えば仕方がない。学者にとっても、価値の客観化は難しいご様子。しかし、もう少し考えてもよかったのでは?今度、論文でも読んでみよう。
 自分には日本人気質と欧米人気質どちらが強いか考えながら読んでみたら、どうやら筆者の言う欧米人気質のほうが強いらしい。